「なんだか急に怪しいこと言い出したな…」と思っている方もいるのではないかと思いますが…笑
私はボードゲームという趣味は他の趣味と比べても明らかに人生の満足度を上げる要因が多いと考えています。
細かい話に入っていく前に総論として「ボードゲームっていいものだよ‼」と語るため幸福論という学問を軸に読み解いていきたいと思います。
「幸せ」に見えるボードゲーマー
ボードゲームを趣味にしての10数年間[1]で私の人生の幸福度は明らかに上がりました。
さらにここ数年、以前よりも積極的にボードゲームを趣味にしている人たちと交流を持つようになって気付いたこと。
それは(決して嫌味ではなく)「幸せそうに生きている人が多いな」ということです。
その観点で大学時代に少しかじっていた「幸福学」からボードゲームを読み解くと、「なるほど」と思える部分がいくつかあったため、皆さんに共有したいと思います。
「非地位財」を重要視する世界観
「幸福学」をちゃんと語りだすとキリがない[2]のでざっくり話しますが、幸福学の基本的な考えの1つに「所得や財産、社会的地位に代表されるような”地位財”から得られる幸福は長続きしない」というものがあります。
有名な研究で「幸福度は年収750万円までは収入に比例するがその後はほぼ変わらない」というものを皆さんもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。
リンク先に記載してある通り、日本では変わらないどころかある程度以上の年収になると逆に幸福度が下がるという衝撃の結果が出ているほどです。
周囲と比較する地位材を追いかけると「もっともっと…」とキリがない上に、むしろ満たされないことに不幸を感じてしまいます[3]。
さて、実はボードゲーマーという人種はこの「お金だけ持っていてもしょうがない」という価値観には非常になじみがあります。
それは多くのボードゲームの世界で、「金」は重要資源ですがあくまで勝敗は「勝利点」によって決まることが多いため。
金はあくまで「手段」であり、最重要なものではありません。
そして、そんなボードゲーマーにとって「勝利点」に当たるもの。
おそらくそれは幸福学で「非地位財」と呼ばれる「健康や人との繋がり」のような周囲の比較と関係なく幸せを感じるものです。
ボードゲームはソロプレイやBGAといわれるサイトでのネット対戦以外は「人」がいなければ遊ぶことができません。「いくら地位財があったとしてもそれを一緒に楽しんで遊んでくれる人がいなければ悲しいだけ」なのです。
また、ボードゲームはどんなに面白いゲームでも、一緒に遊ぶ仲間次第では容易につらい思い出になりますし、例え粗があるゲームでも、気の合う仲間とならその粗さえも楽しむことができます。
このことはボードゲームを趣味にした瞬間に気付くことなため、人との繋がりの大切さをボードゲーマーは誰よりも知っています。
さらにボードゲームの世界では例えどんな大金持ちであろうとゲームスタート時は同じスタートラインです。
同じ条件の中で、お互いの知恵を競おうという考え方は他の人との比較から幸せを得ようとする地位財の考えからそもそも遠いとも言えます。
…ちなみに私の考えではこの考え方と最も遠いのがソーシャルゲームの世界です。
プレイヤーはゲームが始まる前の状況を少しでもよくするために必死にガチャを引き、莫大な時間をかけてレベルを上げます。
ゲームの提供側から意図的に与えられたストレスは、運が良ければ強いキャラを引いて一瞬優位に立つことで解消されますが、強くなった先でさらなるストレスが与えられるように設計されています。
私も昔はそういったゲームをいくつかやっていましたが、ボードゲームと違ってゴールのない不毛な争いに疲れ果ててしまいました[4]。例ではソーシャルゲームを上げましたがブームを作り上げようとして作り上げられたものは多かれ少なかれ同様の傾向にあり、自分の人生を豊かにするはずの趣味に苦しめられている人は少なくないのではないでしょうか(アイドルやギャンブルにも同様のことが言えますね…。)
ボードゲーマーが持つ「幸福の四因子」
さて、幸福論の話に戻りますが、慶應大学の前野教授という方が、この非地位財をさらにいくつかの因子に分解しています。
その因子というのは以下の4つです。
- 夢や目標ややりがいをもち、それらを実現しようと成長していく
「自己実現と成長」の因子 - 人を喜ばせること、愛情に満ちた関係、親切な行為などからなる
「つながりと感謝」の因子 - 自己肯定感が高く、いつも楽しく笑顔でいられる
「楽観と前向き」の因子 - 他人と比較せずに自分らしくやっていく
「独立とマイペース」の因子
これを見るだけでもボードゲーマーっぽいなと思ってくれる人は私だけではないはずです笑
ボードゲーマーは常に0から始まるゲームの中で少しでもいい得点を取れるように常に「成長」を求めていますし、「つながりと感謝」に関しては先に言及した通りです。
また、勝つも負けるも自分次第なボードゲームを趣味にしている人は他責思考の人が少なく、「前向き」な人が多いですし、99%のボードゲーマーは「独立していてマイペース」です笑

こう考えると卵が先か鶏が先かという話になりますが、地位財に支配されずに人生を楽しめる素質を持った人がそもそもボードゲームにハマりやすいのかもしれません。
この観点でみると、もう1つ重要な幸福論の原則があることが見えてきます。
それは「幸せも不幸も伝播する」ということです。
朱に交われば赤くなるといいますが、そのように人生を楽しんでいる人たちと一緒にいると幸せになる確率はきっと高まるのではないでしょうか?
まとめサイトにまとめられているようなとげとげしい世の中ではなく、他者への感謝と日々の楽しみと好奇心に満ちた世界が広がっていることは今の世界ではとても貴重なことだと思います。皆さんもそれだけ幸せな世界に是非とも飛び込んでみてください。
なんだかめんどくさいボードゲーム賛辞の記事になりましたが、こんな概念的な話をするのは今回だけなのでどうかご容赦ください。
次回は、ボードゲームの大きな魅力である「学生・社会人・子育て・定年後」どのペルソナでも楽しめる懐の深さについて紹介します。
それでは、よいボードゲームライフを‼
参考文献
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メビウスゲームズで最初に傑作タイル配置ゲームの「カルカソンヌ」を買って遊んだ時の感動を今でも覚えています。あそこでボードゲームに出会ってなかったらもうちょっとつまらない人生だったろうな…。
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人間は過去から「幸せとはなんだ」っていうことにはすごく興味があったようで、幸福学自体の歴史は非常に深いです。近年の幸福学は1890~1930年の間に3人の別の人物によって書かれた「幸福論」という書籍を源流にしていて、「三大幸福論」と呼ばれています。
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共働き高収入の「パワーカップル」が都内のタワーマンションを買うことが成功のテンプレみたいに言われていますが、嫉妬じゃなくてほんとにあほくさいなと思います。背伸びしてもその中でのマウントの取り合いで嫌な思いしそうだし…「足るを知る」ってすごく大事ですよね。
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誰かが言ってた「私はゲームで遊びたいんであってゲームに遊ばれたくない」って言葉は至言だと思います。